2009年6月11日木曜日

小さな逃亡者

何日か前のことです。

昼食を済ませて2階の居間で調べ物をしている時、

ベランダの方でバサバサという音がしたのでそちらの方を見ると、

1羽の小鳥が、開け放った窓から部屋の中へ飛び込んできたところでした。

その小鳥は壁際の本棚の上にあわてた様子で飛び乗って、本棚の上に乗せていた空箱の後ろ側に、あっという間にもぐり込んでしまいました。


いったいどうして部屋の中に飛び込んできたのかと、ベランダの方にもう1度目をやると、

何と、1羽のカラスがベランダの柵のコンクリート部分に乗って、部屋の中を窺っているではありませんか。

小鳥はカラスに追われてきたのです。

他に逃げ場がないので、人間の居る部屋の中にあえて逃げ込んできたのでしょう。


私が驚いてカラスの方を見ていると、人間がいるのであきらめたらしく、

カラスは飛び去っていきました。


さて、小鳥の方はどうするのかと、私は本棚の上を見ました。

小鳥は空箱の後ろに隠れたまま出てこないでじっとしているようです。

私は小鳥を驚かさないように気をつけながら、なるべく本棚から離れた所の椅子に座って、調べ物を続けました。

時々、本棚の方に目をやるのですが、小鳥はじっとして隠れたままです。


そうやって1時間ほどが過ぎたでしょうか。

やがて本棚の上の空箱からガサガサという音がすると、小鳥が出てきました。

大きさはハトより小さく、スズメより大きく、褐色系の羽の色をしています。

おそらくヒヨドリだと思いますが、そのヒヨドリは本棚の上から、横の仏壇の上に飛び移って、2、3歩歩いて止まりました。

私が見ていても、ヒヨドリはすぐに逃げようともしません。

私がそのまま見ていると、ヒヨドリは、頭を前の方に下げる動作を何回か繰り返しました。

私には、それはお辞儀をしているように見えました。


そうやって、何回か頭を下げる動作を繰り返した後、ヒヨドリはベランダから外へ飛び去っていきました。


ヒヨドリがお辞儀のような動作をするのは習性なのかもしれませんが、

私には、かくまってくれたことにお礼をしているように思えました。

そう思っていた方がよさそうです。

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